2022年2月7日(月)にハンディタイプのレーザースキャナ「BLK2GO」が発売された。
本記事では、その実測データを元に製品特長をご紹介する。今回は山林/斜面が目立つ現場を計測した。
前回のBLK2GOデータ紹介(市街地編)はこちらから
「BLK2GO」はハンディタイプのレーザースキャナだ。「スラム(Simultaneous Localization and Mapping)」という技術が使用されており、自己位置推定と環境地図作成を同時に行う。また、本技術はGPSなどの衛星情報を使用しないシステムのため、トンネルや屋内での活用も見込まれそうだ。
また、VIS(ビス)技術が採用されていることも大きな特長だ。「ビス(Visual Inertial System)」は、位置や向きを自動で検出するアルゴリズムが組み込まれている独自の技術である。この技術は、地上型レーザースキャナ「RTC360」でも大きく活用されており、高精度な自動合成が実現されている。
――本製品はどのようなニーズ・ユーザーに適しているのだろうか。
前回とは別の条件の現場で実証していこう。
▲BLK2GO。
先端のドーム部分からレーザーが照射される。
▲専用アプリケーションでリアルタイムに点群が表示される。
▲計測中の様子。
▲様々な現場データと比較しながら実証を進める。
同一の現場を計測した際の機種別のデータの違いは以下の通りだ。
BLK2GOの特長は、やはりその圧倒的な計測時間の短さである。
ここからはBLK2GOのデータにポイントを置いて見ていこう。計3現場で実証を行った。
前回は市街地の計測結果をみなさまにシェアしたが、今回は草木が目立つ現場の計測結果をお伝えする。等高線図も作成しているので、是非参考にしていただきたい。
現場①の特長は現場②③に比べて、計測範囲が広いことだ。BLK2GOでは、この約2.2kmの山道を約45分で計測することが出来た。
神戸清光の担当者は、この計測完了までの所要時間の短さを本製品の大きな強みの1つだと感じたようだ。他の機種で同一の現場を測った場合を想定すると、大幅な時間削減になっている。
また、「誰でも出来る」ということも魅力の1つである。「BLK360」でもスタートボタンを押すだけの直感的な操作が魅力だが、器械点の間隔などに少し留意することが必要だ。しかしながら、BLK2GOでは器械点などを意識せずに本体を手に持ち歩くだけで計測が出来る。常に動画が録画されていて、そこから自動で器械点を設定してくれるようなイメージだ。
SLAM技術(自己位置推定と環境地図作成を同時に行う)を活用したスキャナは本製品が初めてではない。
しかし、神戸清光の営業担当者たちは「今までの製品より高性能だ」と話す。
その性能の高さの背景にあるのは、冒頭でもお伝えした「VIS(ビス)」の機能だろう。位置や向きを自動で検出する複雑なアルゴリズムで、「RTC360」で使用されているライカ社独自の技術だ。このVISがSLAM技術を補正するように働いていると考えられる。その結果、高品質なデータ取得を実現しているのだ。
製品選びには目的を明確化することが重要であり、例えば精度の高さを目的とするのであれば、TSや高性能レーザースキャナの方がニーズには合うだろう。
――BLK2GOはレーザードローンや通常のレーザスキャナではない“新たな点群取得ツール”として台頭してくるのでは、と営業担当者たちは考える。
BLK2GOは計測しながら点群合成が進むため、データ取り込み後の細かな器械点ごとの合成作業が不要である。この手軽さもまた、BLK2GOの“新たな点群取得ツール”としての勢いに拍車を掛けることになるだろう。
計測時間の短さを考えると、一括で広範囲の点群化が可能なレーザードローンが思い浮かびやすい。しかし、ドローンには飛行技術が必要であることや飛行範囲の制限などもあるため、万人的な扱いやすさに至るには余地がある。例えば、そのドローンが飛ばせない区域や苦手とする現場で本製品を活用することも有効ではないだろうか。
BLK2GOでの実際の計測を見て、私が一番しっくりきたのは営業担当が発した「新たな点群取得ツール」という言葉だ。
本製品を主体として動く現場もあれば、他製品を補佐するような役割で使用する場面もあるんだろうな、と感じる。
製品導入には「何をどうしたいか」という目的の設定が重要である。本製品は日本での発売開始からまだ日も浅く、日本語での具体的な情報も少ない。少しでも、みなさまにカタログ以外の情報や製品のイメージをお届けできれば幸いだ。
―神戸清光では、担当者たちが実証実験を行っている。
みなさまが設定した「目的」と、神戸清光の営業担当たちのもっているノウハウ・情報を照らし合わせることで、ニーズに合った製品選びが可能だ。回り道することなく問題解決や自社価値の創出に進んでいっていただきたい。
(株)神戸清光 広報チーム