2022年2月7日(月)にライカ社より「BLK2GO」が発売された。本記事では、神戸清光の営業担当者がBLK2GOの実機を確認した様子をお伝えする。
「BLK2GO」はハンディタイプのレーザースキャナだ。「スラム(Simultaneous Localization and Mapping)」という技術が使用されており、自己位置推定と環境地図作成を同時に行う。また、本技術はGPSなどの衛星情報を使用しないシステムのため、トンネルや屋内での活用も見込まれそうだ。
また、VIS(ビス)技術が採用されていることも大きな特長だ。「ビス(Visual Inertial System)」は、位置や向きを自動で検出するアルゴリズムが組み込まれている独自の技術である。この技術は、地上型レーザースキャナ「RTC360」でも大きく活用されており、高精度な自動合成が実現されている。
――本製品はどのようなニーズ・ユーザーに適しているのだろうか。また、「BLK360」「RTC360」とのデータ比較も行った。本記事の後半でお伝えする。
▲ハンディ型のレーザースキャナ「BLK2GO」。
▲持ち運びが簡単であることが分かる。
BLK2GOはこのケースに入れて移動することが基本だ。(写真右)
BLK2GOには専用のアプリケーション「BLK2GO Live」が必須だ。機器本体と端末をWi-Fiで接続し運用する。
計測前の簡単なキャリブレーションもこのアプリケーションからの指示に従って行う。そして、計測後のデータは点群合成処理ソフト「Cyclone REGISTER360」で処理をする。(「Cyclone REGISTER360(BLK Edition)」でも可能だ。)
▲計測前のキャリブレーションの様子。
▲バッテリーは残量が4段階で表示され、見えやすい仕様となっている。
1つのバッテリーで約40分間の計測が可能だ。
▲スマホ・タブレットに専用アプリケーションをダウンロードして運用する。
BLK2GOとBLK360/RTC360のデータを合成することも可能だ。BLK360/RTC360で捉えきれなかった細かなデータを補完・取得することができる。
「レーザースキャナとスラムのデータを重ねる」ということに対するハードルをぐっと下げたと言えるだろう。
▲本体上部からレーザーが照射される。
計測の際は、指紋がつかないように注意が必要だ。
ここからは実際のデータを確認していく。是非、ご自身の現場を想像しながら読み進めていただきたい。
今回の現場は大きな交差点が2つあり、立ち並ぶビルが目立つ。(下図、黄枠内参照。)
それでは、「BLK2GO」「BLK360」「RTC360」でそれぞれ同現場を計測したデータを比較していく。
▲現場の航空写真。
(現場は黄枠内)
▲計測時間の比較表。
▲濃淡に差はあるものの、横断歩道の白線までしっかり取得できている。
▲トレース作業をイメージする。
▲夜間で同現場の比較。(BLK360/BLK2GO)
▲手動ではあるが、ターゲットの認識も出来る。
本比較検証から、BLK2GOにどのような現場やユーザーが想定されるのか。神戸清光の営業担当者の見解を紹介する。
①「とにかく10分間歩いただけで、このデータが出来るのはすごい。RTC360やBLK360のデータと合成が可能であり、ターゲットも手動ではあるが使用出来ることが分かった。今のところ自分的にはアリだと考えている。まずは、森林関係の現場で使用することやRTC360/BLK360の補足用途で進めていくと良いのではないかとイメージが膨らんでいる。」
②「平面図作成ツールとしてはやはりBLK360の方が向いているかもしれない。データを比較して分かったように、やはり詳細部分などはっきり分かりづらい箇所が出てくる。メインをBLK360で、路地などの捕捉にBLK2GO、複合で使ってはどうだろうか。MMSの捕測用にも向いているとも感じる。また、CG系の素データと考えれば十分に力を発揮しているのではないか。今後は山間部を計測し、等高線図などを作成してみたいと考えている。」
神戸清光の営業担当者たちからは上記のような見解があり、それぞれの意見に頷きあっていた。
まずは市街地のデータ計測を行ったが、引き続き山間部のデータ計測も実施し検証を続けていく予定だ。その結果はまたみなさまにお伝えする。
神戸清光は「実機を見ていただくこと」が大切なことの1つだと考えているが、本製品は特に「一見は百聞に如かず」である。また、神戸清光の営業担当者たちが使用用途やユーザーの想定をしている際には、非常に活き活きとした様子が見られた。それほど使用目的の自由度が高い製品なのだと感じる。発売直後でBLK2GOに関するインターネット上での日本語の情報はかなり限られているため、実機を通して本製品の外郭だけでも掴んでいただきたい。
(株)神戸清光 広報チーム