神戸清光 小野トレーニングセンターにて
「DJI社 MATRICE350RTK」
「XGRIDS社 Lixel L2」実測レポート


2024年10月8日 神戸清光

2024年9月26日、神戸清光の小野トレーニングセンターにて製品デモの検証を実施しました!

今回は、その様子をレポートしていきます。


今回の検証で使用したドローンと3Dレーザースキャナーはこちら↓

製品紹介

1.DJI社 MATRICE350RTK

2.XGRIDS社 Lixel L2

3.ESN-100(面トル)

午前の部

午前中はDJI社MATRICE350を使用したドローン計測テストを行いました。

ただし、今回のフライトは通常の検証とは違い大きなチャレンジを伴います。

というのも、今回の検証は“ハンディタイプの3Dレーザースキャナーをドローンに吊り下げて飛行する”

という全く新しい試みになります。



アイデアを思いつくことはあっても、それぞれが高額な機材でなかなか勇気が必要です。

そもそもどうやってドローンにスキャナーを搭載するのか?という問題も含めて、

自力での実現は難しいのではないでしょうか。



今回はハンディレーザースキャナーのメーカーであるXGRIDS社から

MATRICE350専用の設置マウントを特注で製作頂くことが叶い、テスト飛行の実現に至りました。

専用マウント

早速検証を開始。

まずは特製の専用マウントをMATRICE350の機体下部に装着します。

中央部の黒いユニットにレーザースキャナー本体をセットします。

両サイドの螺旋状に巻き付けられたワイヤーが、バネのように衝撃や振動を吸収し

SLAMの精度を保ちつつ、本体を衝撃から守ってくれる仕様になっているようです。


細部にXGRIDS技術者のこだわりが感じられます。

機体上部のマウント

機体上部のマウントにはXGRIDS社のRTK受信機や電源供給用のポートを配置。

レーザースキャナーの電源は、MATRICE本体から補います。

いざ実装!


機体同士は見事に合体成功!あとはそれぞれの機体の動作準備を弊社のスペシャリストたちが行います。

初めての動作環境の割に比較的スムーズに準備は整いました。

機体の動作準備

そして、いよいよ飛行!

飛行

スキャナーの本体重量1.6kg。重量の心配も物ともせず、颯爽と機体は飛び立った。


「おぉぉ。」

関係者一同から思わず声が漏れる。


テストは地上10m以内の近距離と地上40m高度の2回測定を実施。

40m高度からの点群データの様子

40m高度からの点群データの様子。
20分間の飛行で約400m四方の範囲をフライト。

40m高度からの点群データの様子。
上空40mからでも建造物の形状も点群でしっかり確認できました。

上空40mからでも建造物の形状も点群でしっかり確認できました。

同じく上空40mから計測した道路の様子。白線や側溝の立体感も識別できるレベルです。

同じく上空40mから計測した道路の様子。白線や側溝の立体感も識別できるレベルです。

そもそも、この手法で得られる最大のメリットは何か?


それは、ドローンの最大の弱点であるGNSSが届かないエリアでも

3DレーザースキャナーのSLAM機能で、自己位置検知を補うことが出来る点です。


例えば高さ数十メートルに及ぶ屋内の巨大な施設の点群取得など、様々な可能性が広がります。


精度を上げるための工夫など課題は残りますが、ドローン測量に新たな可能性を感じられたという意味で

今回の検証は弊社にとっても大きな前進となりました。

測定の結果を踏まえて一層ブラッシュアップを行い、今後さらに幅広い業界に広めて行ければと感じました。

午後の部

午後からは株式会社トプコン社より8月に発売された『ESN-100面トル』を使用し実測を行いました。

面トルはすでに弊社HPで記事を掲載しているので、そちらの方も是非ご覧ください。

→これならできる 自分でスキャン!3Dレーザースキャナー『ESN-100』(愛称:“面トル”)

→トプコンレーザースキャナー『ESN-100面トル』講習会レポート

面トル

こちらのESN-100(面トル)ですが、

計測は後方交会法での器械設置を行い、算出された座標をベースとした

精度の高い点群データを取得できます。


さらに現場で常にタブレットでその精度を確認しながら点群データを取得出来る点が

面トルの大きな強みとなっています。

皆様が普段現場で使われているTSや杭ナビと同じ感覚でお使い頂けます!非常に分かりやすいです!

後方交会法で計測を行うため、今回は2か所に360度プリズムを設置しました。

後方交会法で計測を行うため、今回は2か所に360度プリズムを設置しました。

操作は専用端末のフィールドコントローラーFC-6000Aを使用します。

アンドロイド端末なので、操作が非常に分かりやすいです。


後方交会の座標の入力後、既知点の2点を選び、計測密度の設定を行います。


現場状況や作業目的により【高 5.5mm】か【中 11mm】を選択します。

それによりターゲットスキャンの距離も【100m】か【80m】に固定されます。

あとは、【オートスキャン開始】をタップするだけ!

簡単な操作で計測を行う事が出来ました。

簡単な操作で計測を行う事が出来ました。

【オートスキャン開始】を押した後は、ただ待つだけです!

【オートスキャン開始】を押した後は、ただ待つだけです!

杭ナビ(LN-150)のように自動整準が行われます。

整準不要! TOPCONのお家芸!

360度 12枚の写真を撮影します。 その後、スキャンが行われます。

360度 12枚の写真を撮影します。   その後、スキャンが行われます。

その際に検出したターゲットの方向を自動的に振り向き、ターゲットスキャンが行われます!  2点のターゲットスキャンが自動的に終了しました。  まさに“だれでも使える”“手戻りなく失敗しない”とはこの事です…!!

その際に検出したターゲットの方向を自動的に振り向き、ターゲットスキャンが行われます!

2点のターゲットスキャンが自動的に終了しました。

まさに“だれでも使える”“手戻りなく失敗しない”とはこの事です…!!



空いている時間を使って実際に私たちも計測してみましたが、

操作が簡単でハンディタイプにしては軽く感じました。

スマホでリアルタイムに経路が出るため、取りこぼしもなく、便利さが実感できました!


計7回の計測を行ったのだが1度スキャンしたデータが反映されない事が起きました。

原因としては、端末を持った私が面トルから離れすぎてしまった事が考えられます。

計測の際は本体とタブレットは離れすぎないように注意しなければなりません。

計測の際は本体とタブレットは離れすぎないように
計測終了後にはすぐにタブレットで計測結果が確認できます。

計測終了後にはすぐにタブレットで計測結果が確認できます。

密度のチェックや抜け状況がすぐさま確認可能。

計測後、帰ってから点群抜けてました~ってよくある話だと思いますが、これならもう安心です!

更にプロジェクト毎に作成したデータ同士で体積の差分を計算してみたり、  背景に設計図面や画像を貼り込んだりすることも可能です!  シンプルながら、結構、色々出来ます!

更にプロジェクト毎に作成したデータ同士で体積の差分を計算してみたり、

背景に設計図面や画像を貼り込んだりすることも可能です!

シンプルながら、結構、色々出来ます!

最終、点群に出力出来ます。  PCを使わずにこのままLAS、TXT形式で色付き点群の出力が行えます。  タブレットで完結出来るのは、現場での運用としてはありがたく思って頂けると思います。

最終、点群に出力出来ます。

PCを使わずにこのままLAS、TXT形式で色付き点群の出力が行えます。

タブレットで完結出来るのは、現場での運用としてはありがたく思って頂けると思います。



出来上がった点群データは、下記のようになりました。

i-constructionの起工測量や造成工事等の土量変化による土量計算等、
土木工事における進捗管理などで活躍が期待出来ます。

i-constructionの起工測量や造成工事等の土量変化による土量計算等、 土木工事における進捗管理などで活躍が期待出来ます。

この『面トル』は見た目から分かる通り『杭ナビ』を意識して作られています。

建設会社様では、3Dスキャナーがまだまだ普及出来ていないため、

導入の不安を減らそうというメーカーの配慮が感じられます。


また、後方交会法での測量を取り入れている点も

普段お使いの測量機器と同等のオペレーションで土木の現場などで活用してほしい意図が伝わってきます。

所感

今回、ESN-100(面トル)実機を使ってみた感想としては、

コンセプト通りの【計測の自動化により“だれでも使える”現場完結型により“手戻りなく失敗しない”】

という、TOPCON社ならではのOnlyOne商品だと実感できました。



今回は実測の模様をお届けしましたが、弊社では機器のデモも随時行っています。

記事を見てご興味を持っていただいた際には、是非とも弊社までお問合せください!


日々の業務の手助けとなる最新の機器を保有する 弊社の強みを、存分にご活用ください。 

記事担当:㈱神戸清光  森山・松本