株式会社岩崎が開発に携わったマシンガイダンス「VR500」をみなさんはご存知だろうか。
「VR500」は小型機向けのマシンガイダンスだ。
オフセットブームに対応していることが見どころの1つでもある同製品。
その「VR500」を神戸清光営業担当者たちが実際に体験した。
本記事では、その様子をみなさまにお伝えする。
神戸清光営業担当者たちは、同製品から何を感じ取ったのだろうか?
株式会社岩崎は、北海道札幌市に本社を構える測量機器の販売からレンタルまでを行う創立76年目の伝統ある企業だ。
確かな技術力を培いながら、北海道を主軸に地域社会に根差した運営を行っていることが強みである。
その株式会社岩崎が、株式会社Hemisphere Japan(ヘミスフィアジャパン)との協同によりマシンガイダンスシステム「VR500」を開発した。同シリーズからは、中・大型機向けの「VR1000」も展開されている。
どちらも「GradeMetrix(グレードメトリックス)」というアプリケーションで運用行う流れだ。
特に注目できるのが一体型GNSSコンパス「VR500」である。その注目の理由はオフセットブームに対応していること。
――「測量」の業界を熟知する同社が本製品群を通してアウトプットするのは、「ユーザーの声」だろう。
非常にエネギッシュな印象の製品だ。
※本記事内での「VR500」という表記は、アプリケーション「GradeMetrix」で運用を行うことを含めます。
▲実際に取り付けられた「VR500」。
▲「VR500」の取り付け時イメージ。
小型機向け「VR500」・中大型機向け「VR1000」の製品情報はこちらから。
ICT施工に精通する神戸清光営業担当者がまず感じたことは何だろう。
それを「VR500はしっかりと“小型機”を見据えて設計されている。」ということだったとある営業担当者は話す。
どこからそう感じたのだろうか?
まずは、アンテナの設置に関する課題の解消だ。
他社で販売されているマシンガイダンスシステムでは、アンテナを2本立ててシステムを取り付けるパターンが多い。
しかしながら、小型機で同様の設置を行った場合では、アンテナの距離間隔が近すぎることによって精度に影響が出ることがあるのだという。
VR500では、その製品設計がオールインとなっているため、前述のその距離間隔に捉われない。
そしてそれが安定した方位と高精度の測位を実現し、質の高い施工へと繋がる。
小型機に設置することが製品開発段階で深く考えられており、都市部でのICT施工の普及の背中を押すこととなるだろう。
▲アンテナ2本で構成されるマシンガイダンスシステムのアンテナ設置のイメージ。
小型機に同様の設置を行った場合に、アンテナの距離間隔が近過ぎるため精度不良が起こる場合があるのだと神戸清光営業担当者は話した。
▲小型機向けの「VR500」と中・大型機向けの「VR1000」。
重機の大きさによって、マシンガイダンスの設計が変えられている。
ICT施工の普及は、都市部でも進む。そこで使用頻度の高いのが、小型機のバックホウだろう。
その小型機バックホウでは、オフセットブームとスイングブームの各仕様がニーズに合わせてユーザーから選択される。
現在使用されている小型機バックホウにおいて、オフセットブームとスイングブームの使用率の違いには大きな差はないという。スイングブーム仕様に設置可能なマシンガイダンスシステムは他社からも販売されており、選択肢が確立されていると言えるが、
オフセットブーム仕様に対応するシステムは非常に限定的であることが現状である。
そして、その「オフセットブーム仕様のバックホウにはマシンガイダンスシステムが中々導入しにくい」という状況を打破するようにリリースされたのが、
株式会社岩崎が展開する「VR500」だ。
神戸清光営業担当者たちも、今までになかったこの特長に製品としての面白みを感じたという。
また、他社製品に比べて導入へのコスト面も抑えられている。
既に他社製のGNSSを持っているユーザーは、それを固定局として使用することが可能である。
ある神戸清光営業担当者は、1台目としての導入だけでなく、2台目・3台目と複数台目の導入にも適していると感じたようだ。
機体の違いによるICT施工普及へのスピード差を取り払う製品となるだろう。
▲株式会社岩崎 当別フィールドで、製品体験を行った。
▲アーム部分のセンサー。
▲バケット部分のセンサー。
ICT施工に精通する神戸清光営業担当が特に印象に残ったと話すのは、
2023年内に提供が予定されている「Ntrip A³(エヌトリップ トリプルエー)」という測位方法だ。
VR500では、固定局とデジタル無線機を使用した測位方法である「RTK-GNSS」と、
ジェノバやichimillなどのGNSS補正情報配信サービスを利用した測位方法「ネットワーク型RTK(VRS方式)」がそれぞれ使用出来る。
まずはそれぞれの測位方法の特徴を見てみよう。
1【「RTK-GNSS」の特徴】
・固定局1台で複数台の移動局を運用可能
・現場基準点を使用するため現場の整合性を取りやすい
・補正データが無線通信のため、固定局から通信距離制限がある
・無線で送れる衛星情報量(GPS/Beidou/Galileo/Glonassなど)に限界がある
・初期費用と無線機代で数十万円のコストが必要だが、月々の使用料がない
2【「ネットワーク型RTK(VRS方式)」の特徴】
・固定局が不要、移動局(VR500)1台で運用可能
・移動局1台に対して通信モデムの契約が必要
・SIM通信のため、通信回線網範囲外(圏外)では使えない
それぞれの測位方法では、このような特徴が挙げられる。
当たり前ではあるが、それぞれにメリットとデメリットが存在している。
1の無線機を使用した通信方法では、作業者の体が当たってしまい無線のチャンネルが変わったことで通信が出来なくなってしまった事例が
過去に実際にあったと神戸清光営業担当者は話す。
――「Ntrip A³」は、この2つの測位方法の間にあるようなイメージだ。
「Ntrip A³」は、既知点上に固定局(Ntripサーバー)を設置し、インターネット経由で補正情報を移動局へ送信する測位方法である。
VR500と固定局の両方にSIMカードをセットするため、常に互いに電話が繋がっているようなイメージで安定した測位を実現するのだ。
3【「Ntrip A³」の特徴】
・固定局1台で複数台の移動局を運用可能
・現場基準点を使用するため現場の整合性を取りやすい
・精度劣化のバラつきが小さい
・固定局と移動局の間隔が10km程度の範囲までは使用可能
・送信できる衛星情報量に限界がない。(現状では捕捉している全衛星情報が使用可能)
・SIM通信のため、通信回線網範囲外(圏外)では使えない
現場の通信環境によって測位方法が選べることも、VR500の特長である。
また、使用しないときは固定局をローバーとして使えることでハードの有効活用も出来そうだ。
▲神戸清光営業担当者たちのモットーは「とにかく実機に触る」ということ。
次は、システム画面についても見てみよう。
画面を表示するディスプレイは「IronOne(アイロンワン)」というディスプレイ一体型PCが採用されている。
8インチのタッチスクリーンで、USBでデータの入出力をする仕様だ。
ガイダンス情報は「GradeMetrix(グレードメトリックス)」というアプリケーションで行われる。
本アプリでは、2Dと3Dでガイダンス画面を表示することが出来る。
また、データの形式はLandXMLやDWGなどの一般的な形式に対応していることも特長だ。
メーカー独自のデータ形式に変換することが不要であり、製品の直感的な操作性を際立たせる。
神戸清光営業担当者も、実際の画面から使いやすさを感じることが出来たという。
▲ディスプレイ一体型PC「IronOne(アイロンワン)」は屋外を想定して設計されている。
▲システム画面も、日本語対応がされており見やすい。
――各社から多様な製品が発売されているが、ユーザーの“活用”に繋がる製品において重要な要素の1つが、
「ソフトウェアのアップデートの対応の早さ」ではないだろうか。
実際に使用するユーザーの声を素早く反映させるメーカーが、製品の品質を高めるのだろう。
アメリカアリゾナ州に本拠地を構えるHemisphere(ヘミスフィア)社は、世界55ヵ国以上で製品販売実績を持つ。
そのヘミスフィア ジャパン社と協同して開発されたVR500では、そのアップデートのスピード感がしっかりと感じられるという。
例えば、日本語対応。
些細なようにも感じるが、日本語に対応しきれていない製品にストレスを感じるユーザーは少なくないだろう。
しかし、同製品ではアプリケーションや、GNSSアンテナでも日本語対応がきっちりと行われている。
また、製品リリース前の段階でも、株式会社岩崎がヒアリングしたユーザーからのフィードバックが随時反映されていったという。
製品を提供して「はい、おしまい。」ではなく、提供後のユーザーの声を吸い上げて製品に反映させる姿勢が感じられた。
▲株式会社岩崎 企画開発部の中村氏(左)。
VR500・VR1000の強みを「取り付ける機体に柔軟に対応できることです。」と話してくれた。
▲製品についてのプレゼンテーションを受け、当別フィールドへと向かった。
株式会社岩崎の強みの1つは、地域からの信頼感だろう。現場で活躍するユーザーと近い位置にいる同社だからこそ出来る製品へのアウトプットがあるのだと強く感じた。
測量機器の販売・レンタル・セミナーなど、測量に関することを精力的に行う同社。
その同社が提供するVR500には、従来の流れに革新をもたらしそうな活力があった。
▲現場では終始、測量に関する話が飛び交っていた。
▲VR500について、製品活用のイメージを膨らませる神戸清光営業担当者たち1。
▲VR500について、製品活用のイメージを膨らませる神戸清光営業担当者たち2。
「普通の測量機みたいに、i-Constructionじゃなくても使ってもらえるようになってほしいです。」
――そう話すのは、株式会社岩崎 企画開発部の佐藤氏だ。
同氏が所属する企画開発部では、VR500のリリースまでに様々なユーザーにヒアリングを行った。
そこでは製品の使用感のフィードバックはもちろんのこと、コスト面のハードルでICT施工に踏み切れないユーザーの声も聞いたという。
VR500はそんな現場の声が反映された製品である。製品リリースまでの裏側を知ることは面白い。
オフセットブームに対応した存在感を放つ同製品。これから、都市部で見かけることも増えるだろう。
▲株式会社岩崎 企画開発部のみなさん。
左側から順に大崎氏、佐藤氏、中村氏、高柳氏。
本記事のインタビューにもとてもポジティブに答えてくださった。
VR500を見た神戸清光営業担当者は何を思ったのだろうか?
ICT施工に精通する神戸清光営業担当者に話を聞いた。
「ユーザーがマシンガイダンスを選択することが出来るようになってきと感じました。
――オフセットブームで使うシステムであれば、岩崎の『VR500』。スイングブームに使うなら、ライカの『Leica iCON site excavator』。
GNSSが使えない所では、トプコンの『杭ナビショベル』。こんな風にユーザーのニーズに合わせて使い分けることができます。」と彼は話す。
また、「大阪のような都市部での小規模土工にICT施工を適用することが、更に増えると思います。
つまり、小型機バックホウが主流になっていく部分があると予想されるので、
オフセットブームに対応したマシンガイダンスシステムの登場は非常に良いことです。」とも語ってくれた。
▲株式会社岩崎 古口代表取締役 と 弊社代表取締役 走出。
今回、VR500にスポットを当てて製品体験をしてきたが、筆者が個人的に感じたのは“未来”だ。
ワクワクするような製品に触れたときに感じる、この“未来”。
今までなかった部分に切り込んでいく株式会社岩崎は、とてもエネルギッシュだ。
ユーザーとのヒアリングを重ねてリリースが行われた背景を知って、
これからも随時アップデートが行われ、ブラッシュアップされていくんだろうなと期待が出来る。
提供しっぱなしでユーザの手を放すことなく、ユーザーの使用感をその製品にフィードバックさせ続ける持久力があるのではないだろうか。
導入後こそが重要で、活用までの道筋を示すことがユーザーにとっての心強さになることを同社は知っているのだと感じた。
神戸清光営業担当者たちも刺激を受けたようで、
いつも以上に測量に関する様々な話が飛び交っていたことが印象的である。
「測量」に向き合う彼らの姿はカッコよかった。
何かお困りのことや、解決したいこと。
課題があれば私たち神戸清光にお気軽にお知らせください。
一緒に解決しましょう。
(株)神戸清光 広報チーム
株式会社 岩崎 様
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【ホームページ】https://www.iwasakinet.co.jp/information/