有限会社ミナミ様は愛知県稲沢市に所在する舗装業務を行う企業だ。
「アスファルトフィニッシャーをMC(マシンコントロール)で動かす」ということを最終目的として、
約4年半前にこれまで使用していなかった技術を導入することを決めた。
3次元データ活用のためにライカ「BLK360」を導入して、約3年。
ライカ「RTC360」の導入も経て、「ScanStation P50」の導入も決めた背景を同社取締役の服部氏が語る。
有限会社ミナミ様レポート【#1】「アスファルト舗装業務への点群活用」はこちらから。
有限会社ミナミ様レポート【#2】「有限会社ミナミ様がライカ「RTC360」を導入。」はこちらから。
▲P50でテスト計測を行う。
まず、長距離3D地上型レーザースキャナ「P50」の製品特長を紹介しよう。
ScanStationシリーズの中でも、最大1㎞先の計測が可能で耐久性にも優れている同製品。
長距離でのスキャンが可能であるということは、据える器械点数を抑えることが出来る。つまり、現場での作業時間も少なくなるということだ。また、100万点/秒のスキャンスピードで点群を取得することが出来る。
所謂「無駄な点群がない」ということになり、処理時にはストレスなくデータを動かすことも可能である。他機種に比べると大規模な現場や、災害現場などでの活用が見込めることも特長の1つだ。
「Leica ScanStation P50」の製品情報はこちらから。
▲「Leica ScanStation P50」
▲「Leica ScanStation P50」の操作パネルイメージ。
「Leica ScanStation P50」の操作イメージ動画
舗装工事を主とする有限会社ミナミ様。同社の服部氏にP50を選んだ理由を尋ねた。そこで同氏が話したその理由の1つに「均一な点群が照射されること」という要素があった。通常のレーザースキャナでは、器械点に近ければ近い程、点間が“詰まっている”ようなイメージだ。
反対に器械点から離れれば離れるほど、点間は“伸びてしまう”ようなイメージとなる。
この点間の均一性は、施工時に使用する3次元データそのものに影響を与える。
特に、同社が行う舗装工事では1.5%~2%の繊細なそれぞれの勾配など、データと現場間の再現性において高い精度が求められる。
そのため、データ上で押さえる点がなるべく求める点に限りなく近い必要がある。
しかし、器械点から離れると点間隔が荒くなってしまうため、押さえる点と求める点に既に乖離が出てしまう可能性が高い。
その乖離が幾層にも重なると「誤差」になってしまうのだ。
器械点数でカバーするというのも策だが、舗装工事では機器を据える点数は少ない方が良い。
なぜならば、限られた工期という点・複数の会社が絡んだ施工を行うという形である点で、最低限の動きが必要な非常にシビアな工事であるといえるからだ。
――そういった背景から、同社にマッチしたレーザースキャナは「少ない器械点数での業務遂行」「点間隔になるべく均一性がある」ということが条件であることが分かる。そして、その条件に当てはまるのが「P50」なのだ。
また、スキャン中に「一時停止」が出来ることもポイントが高い。些細な機能に感じられるかもしれないが、最低限の動きで良いパフォーマンスを発揮しなければならない舗装工事において、
現場近くの信号待ちの車などがスキャンデータに映り込んでしまった場合に再スキャンを迫られることは、なるべく避けたいことである。
長距離レンジでのスキャンだけでなく、この点も「少ない器械点数での業務遂行」に繋がるだろう。
――服部氏は「舗装工事の設計・現況把握に使う測量機はライカ以外に考えることはできない。世界に探してもこの技術はライカしかない。」と熱く話す。
同業他社にもライカ社の技術を知って活用してほしいと、舗装工事の技術全体の向上を目指しているような印象を筆者は受けた。
有限会社ミナミ様の「質の高いデータづくり」への取り組み。
“ポリライン”の活用についてのレポートはこちらから。
通常のレーザースキャナでのデータイメージと、P50のデータをそれぞれ見てみよう。
前述の「点間隔の均一性」を感じていただくことが出来るだろう。
▲通常のレーザースキャナの点間隔イメージ。
器械点から遠い方が、点間隔が大きいことが分かる。
▲実際の「P50」のデータ(反射強度で表示)。
器械点から離れても、点間隔が均等であることが分かる。
▲通常のレーザースキャナ。
15m~20mのデータしか使用できない場合がある。
▲通常のレーザースキャナのXY距離。
▲P50のデータ。
約50m離れた位置の点群取得状況。
▲P50のXY距離。
▲有限会社ミナミの服部氏(左)とライカジオシステムズ株式会社の中島氏(右)。
「1㎞という長距離のスキャニングが可能であること」「点間隔が均一であること」ということが、P50の特長であることは前述の通りだ。
しかし、P50の魅力はそれだけではない。
「RTC360」「BLK360」の合成方法と異なり、P50ではターゲットでの合成を行う。計測時にターゲットスキャンが必要になるのだが、決してそれは時間を捨てることにはならない。「ターゲットを取り込んでからが楽なんです。」と話すのは、ライカジオシステムズ株式会社の中島氏だ。
ターゲット名やターゲット高の情報を入れてしまえば、データを取り込む時の合成処理がほぼ不要であり、それが内業の大幅な時間短縮を実現する。
製品選定では、「外業」と「内業」のバランスを考えることも必要であり、神戸清光営業担当者たちも思慮している点だ。
▲P50のテスト計測へ向かう。
▲「BLK360」「RTC360」「P50」を並べて。
服部氏の点群への熱意は強い。
神戸清光レポートページに4回目の登場となる有限会社ミナミ様。
その出会いは、神戸清光への問い合わせメールからだった。
建機のマシンコントロール運用についての問い合わせであり、今見返すと同社の最終目標がそこにしっかりと掲げられているのだと分かる。
その最終目標に向かって進み始めたわけだが、その中でICT施工に使用する3次元図面データの「質」が重要であると同社の服部氏は判断した。
そして、「質の高い」データを目指すために、レーザースキャナやCADでの作図方法の追求が加速したのだ。
――3次元図面データ作成からマシンコントロールまで、ICT施工を一貫して自社で行うことは間違いなく1つのビジネスモデルになるだろう。外注ではなく、自社一貫でそのサイクルを成立させることは決して簡単ではない。しかしそれは、「技術」「ノウハウ」という企業価値をも創出する。間もなくその1つのビジネスモデルの確立を完遂しようとしている同社。
ベテランながら、新しい技術のインプットとアウトプットを真っ直ぐに行う姿が服部氏の魅力だ。
同氏がリードして進む「アスファルトフィニッシャーをマシンコントロールで動かす」という最終目標までの過程に神戸清光が携わらせていただいているわけだが、
その最終目標に達したときに出ている最適解がどうなるか非常に楽しみである。
▲また有限会社ミナミ様を取材したいと筆者は思う。
有限会社ミナミ様へ取材に行かせていただくと、服部氏の3次元への探究心を間近で感じることが出来てワクワクする。
同社が掲げている最終目標達成への過程を間近で見ることで、エネルギッシュな気持ちになる。
――「ゴールが定まったら、スタート位置が決まるんです。」と話すのは、神戸清光のとある営業担当者だ。
有限会社ミナミ様の担当も行う彼は兼ねてから“ゴールを設定すること”が重要だと語っている。筆者が担当しているレポートでも、度々「ゴールを設定することが重要」という表現を用いているが、この表現は実は彼からの教えだ。
ゴールを定めて、それに向かってストーリーを描く。それに向かって製品選定を行う。
その製品選定は「最小限」であることが大切だ。
お困りのことがあったら、是非神戸清光へご連絡いただきたい。一緒にゴールを明確化して、製品を活用しましょう。
(株)神戸清光 広報チーム
有限会社ミナミ 様
【所在地】〒492-8410 愛知県稲沢市北島4-63
【電話番号】0587-21-4361
【HP】https://minami-ltd.com/
【YouTube】https://www.youtube.com/channel/UCKAtNYPdxsLffKNa9u_wCUg