土地家屋調査士横山先生が「杭ナビショベル」の導入を検討。
測量業界の変化を想像し、進み続ける横山測量設計事務所様。
——その根底にある思いは?

——自然環境、政策、顧客から求められるデータなど、測量を取り巻く状況は刻一刻と変化する。
そして、その変化を冷静に見つめ、対応していこうとする測量事務所が北海道知床にある。

本記事では、横山測量設計事務所様の取り組みの一部をみなさまにお伝えする。

2021年9月30日(木)に以下2製品のデモを神戸清光が実施した。

「杭ナビショベル」は、神戸市のトプコントレーニングセンターにてメーカー担当者からも製品について話を聞いていただける時間を提供することができた。

「ZenmuseL1」については、神戸清光のドローン練習場にて実機を見ていただく。

カタログでは分からない製品の特長やメリット・デメリットの確認が、横山氏が描くプランが実現できるか否かの判断材料となる。

マシンガイダンスとドローンと、それぞれ違う製品だが横山氏の目的はいずれも「測量業務の効率化に活用できるか」ということだ。

——農業のICT化のための工事が増えている。

横山測量設計事務所がある北海道では、農業のICT化への取り組みがいち早く進められている。
「GPSガイダンスシステム」の農地での活用や、最近では「スマートファーミング」という言葉も聞かれるようになった。 一見その動きと測量業界が繋がっているようには感じにくいが、実はしっかりと繋がっている。

農業のICT化に伴い、例えばGPSガイダンスシステムを搭載した大型の農耕機が導入される。
北海道の農地面積の8割は畑が占めているという。 そして、その畑の40%が排水不良となっているため、
大型の農耕機での作業の効率化が妨げられていることが課題だ。
そこで、その大型の農耕機運用の場所の確保として畑の大区画化=畑を広げるための工事を行う必要がある。
そしてその工事を行うために、測量が必要となるのだ。

空が開けている箇所では、GNSS測量が円滑に行える。
だが、畑の周りにはおおよそ防風林と溝があり、そこではGNSSを捉えにくい。
そこでGNSS測量は諦め、丁張の手間を掛けてTSでの測量を行う必要があるのだ。
「丁張」には技術が必要であり、技術が必要ということは職人が必要ということを意味する。
だが、土木業界において人手不足が目立っているのが実情だ。職人の確保は決して簡単ではない。

そこで同氏が可能性を見出したのが「MG(マシンガイダンス)の提供+3Dデータの提供」というセットを提案するビジネスプランである。
同事務所では既に測量機器のレンタル対応も行っており、そのラインナップの1つとして「杭ナビショベル」を検討しているという。

重機だけでなく3Dデータも同時に提供することで、連なったサービスの提供が実現できる。

トラクターのイメージ。大型機になるほど走る場所の確保が必要だ。

▲トラクターのイメージ。大型機になるほど走る場所の確保が必要だ。

「工事を請け負うためのi-Construction導入」ではなく、
「業務効率向上のためのi-Construction導入」を
 土地家屋調査士が考え、提案する。 

土地家屋調査士がi-Construction関連の製品の導入を検討していると聞くと、革新的なことが始まるような印象を受ける。 横山氏の事務所が、工事測量業務を多く行っていたということも背景にあるだろう。
「MG(マシンガイダンス)+3Dデータの提供」を実現化していくために、同氏が動き出したことは前述の通りだ。

同氏が製品について尋ねる際、メーカーに左右されず「本当に活用できる製品か」ということを見極めようとすることが非常に印象的であった。
「杭ナビショベル」についても同様の視点から製品の確認を行う。
「杭ナビショベル」は、「杭ナビ(LN-150)」がそのままマシンガイダンスになり、GNSSを使用しないため現場の環境によって精度が左右されにくいというメリットをもつ。
今回のビジネスモデルの実現にあたり、同製品を導入したとして課題となるのは「付け外しの効率性」といったところだろうか。

横山氏はMC(マシンコントロール)/MG(マシンガイダンス)を導入する企業が工程の要所要所で作業の外注をしていることも注視する。 業務のポイントとなる点で外注をすることが主流になっては、会社の財産として何も残らないと考えるからだ。

i-Constructionをきちんと使いこなすことができれば、2~3割の業務効率化を可能にすると言われている。
工事を請け負うためのi-Constrcution導入ではなく、業務効率向上のためのi-Constructionを提案できるように考える横山氏は自身の事務所の発展のためだけでなく、その事務所を構える北海道知床という地域というさらに大きな区切りの中での革新をも見据えているようだった。

同氏の事務所は、自社が積み重ねてきた工事測量業務を1つのノウハウとして扱い、まさに今業務拡大に繋げていこうとしているのだ。

ビジネスモデルの構築について話す横山氏(右)。

▲ビジネスモデルの構築について話す横山氏(右)。

——測量の業務効率化のために動き出す。

同日の後半では、DJI社製「Zenmuse L1」のフライト~データ解析まで確認していただいた。
目的はやはり「業務の効率化」だ。
「Zenmuse L1」はドローンのジンバル部分に装着して使用するLidarだ。リアルタイムに送信機に点群が表示され、合成した状態でデータが吐き出される。

「Zenmuse L1」の実機を通して、地表面までしっかりとデータが取得できることを実感する。
横山氏の掲げるビジョンに共鳴し得る製品だったようだ。


神戸清光の営業担当者はそれぞれが得意分野を持っており、
今回はドローンに詳しい担当者から横山氏へ「Zenmuse L1」の特長をしっかりとお伝えできた。
話題の製品だからこそ、カタログやネット上だけでは分からない部分を神戸清光からみなさんへシェアしていきたいと私たちは考えている。 

神戸清光担当者から「Zenmuse L1」の説明を受ける横山氏。

▲神戸清光担当者から「Zenmuse L1」の説明を受ける横山氏。

——「従来通り」では難しいことがある。

横山氏は「『従来通り』では難しいことがある」と繰り返し語っていた。
新技術への対応と従来の方法を継承する、そのバランス感覚をもつことが重要だろう。
同氏の中には既にストーリーがあり、それに沿って着々と準備を行っているように見えた。

成果物のあり方や、使用する測量技術、職業人口、自然環境と様々な要素は必ず変化するだろう。
その変化を見てから動き出すことと、事前にストーリーを組み立て動いていることはビジネスモデルのチャンスの幅が異なるのかもしれないと感じる。

機器本体の扱いやすさだけでなく、データの品質も重要だ。

▲機器本体の扱いやすさだけでなく、データの品質も重要だ。

——「災害が起きたらすぐに対応できるように」
というビジョンがある。

冷静に測量業界の変遷を見つめ、変化への対応を進める横山氏。
横山氏の描く未来のビジョンのひとつに「災害が起きたらすぐに対応ができるように」というテーマがある。

「すぐに対応できる」ということは、“現況データをすぐに提供できること”“災害が起きた現場をすぐにデータ化できる”ということ。 災害はいつ起きるか分からない。
しかし、前述のように同氏の中では災害時での業務においてもストーリーが描かれているのだろう。 

L1の特長であるプロポにリアルタイムに表示される点群を確認する。

▲L1の特長であるプロポにリアルタイムに表示される点群を確認する。

「3Dデータ作成のノウハウ」と
「3Dデータ」が会社の財産になる。

「『会社の財産』としてノウハウやデータを残していくことが大切だと思うんです。」と横山氏は語る。

業務を受注したときの報酬は、もちろん会社の運営において非常に重要である。

その受注した業務の中で、ある部分を外注する場合がある。その依頼した外注の部分が会社のノウハウやデータとして、つまり財産として残らないことが勿体ないと同氏は考える。
決して外注することが良くない、ということを言っているわけではない。
自社内で業務を完結させるためには、自社内で知識や機器の使用方法について理解を深め、社員にシェアしていく必要がある。 これは決して簡単ではなく、たくさんの時間が必要だ。

しかしながら本当の技術の活用のためには、機械を「おもちゃ」のように触ることも大切なのだという。
扱いやすく、分かりやすい製品をメーカーが提案し続けることは前提ではあるが、ユーザーの努力や好奇心が必要であるのが現状なのは否めない。 

トプコンの神戸トレーニングセンターでメーカーの担当者から直接説明を受けていただいた。

▲トプコンの神戸トレーニングセンターでメーカーの担当者から直接説明を受けていただいた。

再認識した「何が会社の財産になるか分からない」
ということ。

横山氏と共に時間を過ごさせていただく中で、同氏が「『会社の財産』」として何を残すか」というところを強く意識しているということを垣間見ることができた。
また、自社の発展だけでなく地域の発展を考えているようにも感じられた。

現在は2次元が主流の成果物でも、あと少し時間が経てば3次元での提出が前提となる。
――そんな状況がないとは言い切れない。
同氏からは、もちろん現在を見据えながら、しかし同時に数年後を見据え、今考えていることをきちんと具現化していくようなエネルギーが感じられるのだ。

新しい製品がリリースされ、新しい技術に対応していくユーザーみなさんの感度の高さに頭が下がる。
それが私の個人的な思いだ。

実機を確認していただくことで見えてくるものがあるだろう。
神戸清光は、そのユーザーの「気付き」を大切にしている。
困ったことや、このゴールに持っていくにはどうしたらいいかなどを是非ご相談いただきたい。


(株)神戸清光 広報チーム

有限会社  横山測量設計事務所 様

【所在地】〒099-4117 北海道斜里郡斜里町青葉町9-13
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