2021年3月30日(火)、栃木県土地家屋調査士会が足利市へ「史跡足利学校」の3Dデータを寄贈し、記念式典が行われた。 (株)神戸清光もこのデータ撮影に携わらせていただき、同寄贈会へ弊社代表取締役の走出高充が出席した。
栃木県足利市昌平町にある足利学校は日本で1番古い学校として知られ、大正10年に史跡として指定された。
その歴史には諸説あるが、最古の説では平安時代初期にその歴史がはじまったとも言われている。
そんな歴史ある足利学校だが、創建当時の設計図はもちろん残っていない。
—近年、歴史的建造物を3次元化する取り組みが増えてきている。
そのデータの活用方法は、後世へ現況を残すだけでなく、災害などが発生した場合の施設の復元にも使うことが出来る。
3Dデータ
写真データ
撮影当日は同調査士会から19名の先生方に参加していただき、4台のBLK360と1台のRTC360を使用して作業を行った。
また地上型レーザスキャナだけでなく、ドローン測量と対空標識の測量を併せることで、データの統合化及び世界測地系の座標取得までが可能となり品質の高いデータを実現することができた。その総機械点数は242点、点群にして約26億点のデータとなる。
この膨大な撮影をたった5時間で終えた。3Dレーザスキャナとドローンを組み合わせると迅速な測量が可能だ。
BLK360とRTC360
VRデータを体験している様子
文化遺産を3次元データ化し、保存することが増えてきている。
今回撮影した史跡足利学校のような古い建築物には図面が存在しておらず、こういった撮影データが後世に活かされることとなる。
その活用方法は多岐に渡り、観光資源としての地域活性化に繋げることはもちろん災害時や学術的な研究調査での活用が期待される。
まだまだ時間が掛かるかもしれないが、文化遺産を点群化する価値がさらに周知されたときには1つのビジネスモデルとして確立されるかもしれない。
寄贈したVRデータの一部
栃木県土地家屋調査士会橋本会長は「日本の不動産登記は2次元で海外に後れをとっている」と新聞の取材に答えている。
この3次元撮影を通して、将来の登記制度について考えていくことも今回の狙いの1つだという。
3次元測量を取り入れる土地家屋調査士が増えている。導入の目的は業務の軽減化・効率化であるが、将来的に登記そのものが3次元化していく可能性は否めない。
不動産業界自体にICT化の波が来ており、3次元で測量したデータがそのまま登記制度等に活用されていくことは自然の流れだろう。
同寄贈会。栃木県土地家屋調査士会会長橋本氏(前列左から4番目)と神戸清光代表取締役の走出高充(右端)。
i-Contruction実施がきっかけとなり、3次元測量を導入せざるを得ないユーザーも多いだろう。しかし、確実に国の政策以外の場所でも3次元の活用が前に進んでおり、あらためてその活用方法が多岐に渡ることが感じられる。
「将来子どもたちの65%が今はない職業に就く」という説があるが、その職業に3次元も密接に関わっていくかもしれない。
(株)神戸清光 広報チーム